夏合宿の事件簿(前編) by松井
序章 旅のはじまり
2016年9月24日、神戸大学保田ゼミの8人(2人不参加)は徳島へと旅立つ…はずだった。
最初の事件の元凶はこの男。
餃子プロジェクトリーダー、粟田晴貴。
(通称:あわでん)
行きのバスに最後に乗車するはずのあわでんだったが、予定のバス停にその姿がない。
ざわつくゼミ生。
その時、一人の携帯が鳴った。
あわでん「ごめん、今起きた」
そんなことだろうと思ったよね、うん。
当然のようにあわでんは放置して先を急ぐ一行。しかし徳島駅到着後も
・冷凍コーラ爆発事件
・スライド未完成事件
・ウミヘビ事件(保田先生私服のセンスヤバすぎ事件)
など不穏な空気のまま、一行の夏合宿は幕を開けた……
第1章 マ・ゼ・ノ・オ・カ
一行は昼前に最初の目的地、「まぜのおかオートキャンプ場」(海陽町)に到着。
NTVP主催のStartup Venture's Campに合流した。
途中合流だった一行は、すぐに昼食の時間に。
すなわち夏を賭して取り組んだプロジェクトの報告プレゼンの時間である。
(※あわでんはギリギリ間に合いました。)
まずはじめに挨拶として先生が壇上に……
当然無難な挨拶で終わるはずがなく、挙句の果てには壇上で踊りだす始末。
(画像自主規制)
保田「ニッポンの未来はWOW!WOW! WOW!WOW!」
ゼミ生一同「もうやめてくれ……」
これが後世に語り継がれることになったLOVE魔神事件である。
悪い意味で会場の視線が保田ゼミに集まる中、プレゼンがスタート。
そしてここでも事件が起きてしまう。
昭和のプレゼンターはあきこ。流石いつもプレゼンターを務めるだけあって喋りが上手い。微妙なムードだった会場の人たちを引き込んでいく。丁寧かつ雄弁に喋る、喋る、喋る、喋る、喋る…………
あれ?こいつ喋りすぎじゃね?
保田ゼミに与えられた時間は合計で30分。
冒頭の先生の挨拶と、昭和のプレゼンが終わるころにはすでに25分が経過していた。
その結果、事前に10分と言われて間に合わせた用意してきたプレゼンは、
5分足らずで打ち切られてしまったのである。おかげで恥を晒さずに済ん(ry
そんなプレゼン打ち切り事件にもめげず、
午後もスタートアップ関係者らによるトークセッションを拝聴。
スタートアップ界隈特有の、
「誰でもできるからとにかくやってみよう!」
と、登壇者は言うものの、聞き手からすると
「なんだよこいつらただの天才じゃねえか…」
としか思えないエピソードが飛び出す、ということが繰り返された。
その後は懇親会のBBQが行われた。
登壇者とイベント参加者がフラットに交流できる場となり、
地元の名産品をふんだんに使った豪勢な料理が振る舞われた。
さっきまで壇上で話していた人と近い距離でお話できる時間は、
普段このような機会の少ない神戸にいるゼミ生にとって大きな刺激になり、
一行は(少なくとも私は)終始圧倒された。
~~
近年スタートアップの件数が増え、10台の起業家もたくさん登場しており、
「スタートアップブーム」と言われるようになって久しいが、
登壇者の起業家たちの話を間近で聞いてもその存在は別格のように感じられた。
起業を身近に感じられる時が来るのは、まだ先のことなのかもしれない。
そうは言ってもテクノロジーが我々の生活を、ひいては地球の未来を変える時代は、
もうすぐそこまで来ていると大人たちは煽り立てる……
我々若者は狼狽するばかりである。
~~
(なお、神戸のゼミ生が本当に狼狽した夏合宿最大の事件はこの夜に起こることになるのだが、これはまた別のお話。いつかまた、別の機会に話すとしよう。)
第2章 豊かな自然の中で
前夜の事件を受けて疲労困憊の神戸のゼミ生は、事前に申し込んでいたエクスカーションに参加するべく海辺へ赴いた。
幸い天気も回復し、あまや一時離脱事件やフナムシ事件などもあったが、
シーカヤックやシュノーケリングなど、束の間のプレイタイムを楽しんだ。
(疲れ果てて仲良く眠る、「ヤニ中丸」の乗組員2名。)
一行はこの町のメインストリートに面する日和佐駅で降車した。
(※実際はバス移動です。)
安倍政権の掲げる「地方創生」が話題だが、この美波町は「サテライトオフィス誘致」という地方創生における一つのモデル作りに成功している地域で、すでに17もの企業が進出している今最も注目度の高い地方の一つだ。
そんな美波町躍進の旗手とも言えるのが、
情報保護セキュリティの「サイファー・テック」と
美波町の振興そのものを事業とする「あわえ」
の二つの会社を経営する吉田基晴氏である。
(ごめんなさい写真撮り忘れました)
美波町滞在中の宿のご用意から宴会、はたまた町の案内に至るまで、今回の合宿はこの人の尽力で実現したと言っても過言ではない。ぜひとも吉田さんや美波町、あわえの名前で検索してみてほしい。
ただ、この時点ではそのことを全く知らなかった一行は、大変失礼なことに吉田さんへの挨拶もそこそこに、前夜の失態も顧みずアルコールを買い込みに走ったのであった。
(嬉しそうに酒を吟味する彼女も、翌日失態を晒すことになる。)
その後宿泊施設に移動した一行は、
・送迎バン怪音事件
・連続巨大蜘蛛事件
などに怯えながらも、
美波町の「偉い人」が勢揃いして開いていただいた歓迎会に参加した。
この「偉い人」というのが物凄いラインナップで、
美波町の町長、つまりこの町でいちばんえらい人をはじめとして、
局長やら社長から漁師さんや旅人までが一堂に会する大宴会となり、
まだよく分からない町の様子を聞くことのできる貴重な時間であった。
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ただ、この「偉い人大集合」という中で、多くのゼミ生は今まで体験したことのない雰囲気を味わうことになったのである。
これが大人の世界というものなのか、田舎特有の風習なのか、都会に生きる若者の我々には分からないが、前夜にお話した大人たちとは明らかに異なる雰囲気であった。
一般に若者が地方や田舎の人間関係に対して持つイメージをそのまま体現したようなあの雰囲気もまた、すでに住んでいる人では気づかない地方創生における課題なのかもしれない。
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さて、次章からは美波町での実際のフィールドワークが始まる。
そこでもまた事件が多発することになるとは、一行は知る由もなかった……
(続く)